「あ」から始まる用語一覧
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あて材(あてざい)
あて材とは、傾斜地で樹心が一方に偏ったまま、肥大成長した部分にできる特殊な性質の材のことをいう。木が傾斜地で垂直に伸びるときに、重力に負けないように自身を支えようとすることから生じる。製材や乾燥で起こる曲がりや反りとは違い、成長過程でできたもので、色艶や木目が特徴的なため、加工されていても判別しやすい。重厚だが強度が低く、加工しにくいため、住宅木材として使われることはあまりない。木の種類の違いから圧縮あて材と引張あて材の2種類があり、圧縮あて材とは針葉樹では枝や傾斜した幹の下側にあてが生じてできるもの、引張あて材は広葉樹では枝や傾斜した幹の上側にあてが生じてできるものを指す。
アトリウム(あとりうむ)
アトリウムとは、マンションのエントランス、オフィスビルやホテルのロビーなどに設けられた開放的な吹抜け空間を指す。
もともとは古代ローマの邸宅にあった中庭のことを指していた。現在ではガラス屋根から自然の光を取り入れた吹き抜け空間や屋内庭園になっていることが多く、全天候型で利用可能なオープンスペースとして使われているものもある。
アネモスタット(あねもすたっと)
アネモスタットとは、空調用送風設備の種類を指す。天井に設置された空調機からダクトに導かれた冷気や暖気が吹き出される。形状は丸型や羽を数枚重ねたような型があり、吹き出し口から放射状に暖気や冷気が吹き出される仕組みである。部屋の空気と交わりやすく、室内の多方向に放出されるように設計されている。
あばた(あばた)
あばたとは、コンクリートの表面に空気やエントラップドエアが露出して、硬化してしまった現象を指す。
エントラップドエアは気泡の一種で、通常のコンクリートに0.5~3.0%程度存在している。
あばたは、コンクリート打設時に締め固めが不足したり、セメントペーストが分離したりすることが原因で生じる。また、打ち込まれるコンクリートのスランプが大きい場合やコンクリートの温度が高い場合にも、あばたの発生確率が上がる。あばたは建物の外観を損なわせるだけに留まらず、コンクリートの建物の耐久性低下という悪影響を及ぼす。あばたの一般的な補修方法としては、あばた部分にポリマーセメントペーストを塗布する方法がある。
あばら筋(あばらきん)
あばら筋とは、鉄筋コンクリート造の梁の主筋を囲むように巻かれた鉄筋を指す。「スターラップ」「肋筋」とも言う。
梁に地震や荷重などの外力がかったときに、せん断破壊や座屈が起きるのを防いで補強するのが主目的で、柱の帯筋(フープ)と同じ役割を果たす。施工の際に主筋の位置を固定するためにも必要となる。梁の強度を高める場合は、梁の両端部に入れるあばら筋の間隔を狭くし、中央部は間隔を開ける。あばら筋には、四角く囲う閉鎖型と、上部を開けるU字型がある。
アパート(あぱーと)
アパートとは、一般的には木造、軽量鉄骨造の低層な賃貸集合住宅を指す。
対して、マンションは鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造などの概ね3階建て以上の集合住宅を指すことが多い。
不動産取引においてはアパートとマンションの明確な区分はないが、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」では「区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷地及び附属施設」と、分譲された集合住宅をマンションと定義していることから、アパートは賃貸の集合住宅を指すものとされる。
アピトン(あぴとん)
アピトンとは、フィリピン、インド、インドシナ、タイ、マレーシア、カンボジアなど、東南アジアに分布するフタバガキ科の広葉樹を指す。広範な地域に自生しており、産地国によって呼名が異なる場合がある。材質が強く、耐久力に優れており、心材の色は濃灰褐色、赤褐色で、長期間大気にさらされると色が濃くなる。保存薬剤が注入しやすいため、処理をしてから用いられている。耐久性の高さと、表面にヤニが浮き出てあまり見た目がきれいでないことから、主に橋や陸橋などの重構造物に利用される。防腐処理をしたものは、埠頭杭木、橋梁材、枕木などに使われる。またトラックの荷台の床に使用されることも多い。
アフターサービス(あふたーさーびす)
アフターサービスとは、建物を引き渡した後、一定期間うけられる保証を指す。ハウスメーカーや工務店、分譲会社など、建物の建築や販売に関わった会社が、建物の構造、設備、仕様の保守、点検、修繕などの実施を保証している。保証期間中は無料で修理できる。
新築住宅では、基礎、柱、屋根などの構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分に対して、2000年4月に施行された住宅の品質確保の促進等に関する法律により、最低10年間の保証が企業側に義務付けられている。
アプローチ(あぷろーち)
アプローチとは、道路や門など敷地の入口から建物の玄関までの通路、およびその周辺を指す。一戸建ての場合は、カーポートなどの配置も含む。マンションの場合は、1階の入り口近辺のスペースを指すこともある。道路と敷地に高低差があればスロープや階段を設けることが多いが、スロープや階段もアプローチに含まれる。敷地の規模によって、一戸建てなどでみられるコンパクトなものから、大規模なマンションなどで作られる歩行者用通路、車の出入口など広いスペースを持つものまである。
アプローチライト(あぷろーちらいと)
アプローチライトとは、門から玄関までを誘導する照明を指す。エクステリアライトのひとつである。ただ足元を照らすだけではなく、光と影の差を出したり、光の色味や当て方を工夫したりすることで、印象的な空間を作ることができる。設置方法には、地中に杭を刺して設置するポールタイプや置くだけの置き型タイプなどがある。また人感センサー付きのライトなどを使えば、防犯効果を高めることもできる。太陽光を利用するソーラー式や乾電池を使用する乾電池式のほか、コンセントや電気工事を行って電気を供給する方法がある。
雨仕舞い(あまじまい)
雨仕舞いとは、建築・建設現場で建物の中に雨水が入らないようにすること、またはそのための施工方法を指す。
具体的には、リフォームでの増改築や玄関ドアや窓サッシなどの交換を行う際に、躯体との結合部や屋根部分に防水処理を施す。
一般的に雨仕舞いには水切り金具や防水紙、シーリング材を使用されるが、施工には以下の2点を考慮する必要がある。
1つ目は雨の通り道を確保することである。雨水は屋根から庇、雨樋、地面へと流れていくが、どこか1つでも詰まっていると流れが変わり雨漏りにつながってしまうためである。
2つ目は屋根の細部処理である。台風や大雪など何らかの原因で雨水が逆流したときに、建物内に浸入しないように壁との境目を2重3重にしたり、窓や扉を防水仕様にしたりする処理が重要である。
雨戸(あまど)
雨戸とは、建物の窓に取り付けることで窓ガラスや障子を雨風から守る建具を指す。
現在は防犯や目隠しなどを目的に設置されることも多い。素材は木製、スチール製、アルミ製などがある。スチール製は3種類の中で最も強度が優れているが、塗装が剥がれやすいことなどからメンテナンスが必要である。アルミ製は錆に強いため、海沿いの家屋や物置などさまざまな建物に適している。雨戸を閉めたままでも屋内に風や日光を取り入れられる、ルーバー調の雨戸などもある。昨今は、開閉が楽で収納場所を多くとらないことから、シャッタータイプが多くみられる。
亜麻仁油(あまにあぶら)
亜麻仁油とは、アマ科のアマという植物の種子から得られる天然の植物油を指す。亜麻仁油はリノレン酸を主成分とし、リノール酸、オレイン酸を含む乾性油で、食用とされるほか、工業用としては、木工用塗油、印刷インキ、電気絶縁ワニス、金属の防蝕、絵の具などにも用いられる。
雨漏り(あまもり)
雨漏りとは、雨が意図せず建物内に漏れてくる状態を指す。主な原因は住宅の経年劣化に対するメンテナンス不足、具体的には屋根材の欠損、壁のひび割れ、防水塗装の劣化、排水溝や雨どいの劣化や詰まりなどであることが多い。
雨漏りは、大雨や台風などの天災に起因するものが多く、梅雨時期よりも台風の多い10月の方が発生割合が高い傾向にある。
新築時の設計不良や施工不良による雨漏りもあるが、防水性能の基準が明確ではないため、建築基準は満たしていても設計に合った材料選びがされていなかったり、施工手順に問題があったりすると発生する場合がある。しかし築10年未満での雨漏りは、住宅瑕疵担保責任制度により無料修理が適用される。
雨漏りによって起こる二次災害も様々あり、例えば、壁や柱などに雨水が染みこんだ状態が続くことで、腐食がはじまり建物の耐久性が下がることや、シロアリの被害に遭いやすくなること、他にも、電気系統の故障による停電や漏電、それに伴う火災、カビによる健康被害などが発生する可能性もある。
網戸(あみど)
網戸とは、室内に蚊やハエなどの虫の侵入を防ぐために網(防虫網)を張った建具を指す。
窓や扉と併せて設置されることが多く、窓を開けていても通風や換気を保ちながら、虫の侵入を防ぐことができる。主な素材はパリイプロピレンと呼ばれる素材で、軽くて水洗いできるのが特徴である。最近では花粉症対策としても有効な合成繊維を用いた目の細かいネットやペットに引っかかれても傷みにくいネット、ホコリやゴミがつきにくいネットなどが開発され、様々な網戸が販売されている。
アメリカカンザイシロアリ(あめりかかんざいしろあり)
アメリカカンザイシロアリとは、輸入家具などによって日本に移入した外来種のシロアリの一種である。
ヤマトシロアリやイエシロアリと違って、木材に含まれる僅かな水分でも生育できるため、乾燥した状態の木材をもエサとする。
少ない個体数で巣を作り、食害の進行が遅いため、初期段階での発見が難しい。砂粒状の糞が発見する手がかりとなるため、乾燥した長径1mm程の俵状の糞が見つかった場合はアメリカカンザイシロアリがいる可能性がある。
薬剤や毒ガスでの駆除となるため、専門の業者に依頼することが必要である。
アメリカンスタイル(あめりかんすたいる)
アメリカンスタイルとは、アメリカの時代の流行やそれぞれの州の気候や地域性を反映した様式を指す。
家屋の様式でいえば、開拓時代のアメリカを手本とした、アーリーアメリカンスタイルや80年代をイメージしたアメリカン・ヴィンテージスタイル、西海岸をイメージしたカリフォルニアスタイル、車社会を象徴するガレージスタイルなど多岐に及ぶ。それぞれのスタイルによってテイストはさまざまだが、規格化された枠組み壁工法が一般的である。家を壁などの面で支えるため、頑丈でしっかりした造りとなり、アメリカの風土に耐えるための気密性が高くなるのも特徴である。また、日本の家よりも規格が大きくなるため開放的でひろびろとした空間となることが多い。
洗い落とし式便器(あらいおとししきべんき)
洗い落とし式便器とは、落差による水の流れを利用して、汚物を押し流すタイプの便器を指す。
便器の種類の中では構造が一番シンプルである。
洗浄方式による便器のタイプには、他にサイホン式、サイホンゼット式、サイホンボルテックス式などがある。
洗い落とし式便器は、これまで住宅用として広く利用されてきた。また、便器のサイズが小さく設置の自由度が高いことや、必要とする水量が少ないこともメリットして挙げられる。
荒壁(あらかべ)
荒壁とは、土壁を作る工程で作られる、仕上げ塗りの下地の壁を指す。粘土質の多い粗めの荒壁土に、細かく切った藁を混ぜて水で練ったものを、下地の竹小舞(細い竹を縦、横に細かく架け渡し縄で編んだもの)に塗り込んで作られる。調温、調湿機能に優れており、また耐震性もあり、大きく変形しても耐久性が著しく下がることはないという特徴がある。
荒木田土(あらきだつち)
荒木田土とは、水田の下層部や河川、湖沼などに堆積した灰色の沖積土を指す。粘土質の重い土で、有機質を多く含み、保湿力、保肥力(肥料もち)の良い土なので、ビオトープ作りや水稲、睡蓮栽培に用いたり、赤玉土、ピートモスや腐葉土を混ぜ通気性を確保し植物の栽培にも用いたりする。また、乾燥させると硬く固まりやすく、昔は壁土や瓦の原料としても利用されていた。今でも土壁用の土として使われている。