「た」から始まる用語一覧
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建て付け(たてつけ)
建て付けとは、戸や障子などの建具と、隣接部材の納まり具合のことを指す。
通常ぴったりと収まる戸や障子などが、収まりにくい状態を「建て付けが悪い」という。建て付けが悪くなる原因には、建物自体の経年劣化、建具の枠の経年劣化、建具の蝶番などのゆがみ・破損、建具または枠など木材の湿気による膨張、地震や地盤沈下による建物や建具のズレ、などが挙げられる。
悪くなった建て付けを改善させるには、劣化した木部を削る、蝶番など劣化した部品の交換や調整など、建て付けが悪い原因を調査し、それぞれに適切な対処が求められる。
縦羽目板(たてはめいた)
縦羽目板とは、板張りの壁仕上げに使う板材の一種で、長さ方向を垂直に連続して張った板、またはその張り方を指す。「縦張り羽目板」「熨斗羽目(のしばめ)」とも言う。
板同士のつなぎ目は「合じゃくり(板側面の厚みを半分ずつ欠きとる)」「本実(ほんざね(板側面に凹凸をつける))」「矢筈(やはず(板側面に山谷型をつける))」「目透かし(継ぎ目に少しすき間を開け、裏に敷目板を貼る)」などの方法がある。和洋風、内壁・外壁ともに用いられる。横羽目板より雨仕舞いの問題は少ない。
縦舞良戸(たてまいらど)
縦舞良戸とは、板張り建具の1種で、表面に細い桟を縦に組んだ板戸を指す。
舞良戸は、建具枠に鏡板を張り、室外側に「舞良木」と呼ばれる細い桟を等間隔で奇数本(11~19本)入れた板戸を言う。通常、舞良戸と言えば、鏡板を縦張り、舞良木を横に組んだものを指すが、縦舞良戸は鏡板が横貼り、舞良木が縦組みになっている。
なお舞良戸は、平安時代後期に誕生したもので、明り障子(明り襖)の保護のために外部建具として設置された。現在の雨戸の原型と言える。のちに書院造りの引き戸の形式に取り入れられた。
建物診断(たてものしんだん)
建物診断とは、物件の外壁、屋根、屋上、配管などの設備を各専門家が検査し、今の状況を確認することを指す。これから不動産を購入する場合や、所有している建物の劣化診断をすることによって、現在の資産価値を知ることができる。実施にあたっては、まずは資料の確認を行い、竣工図面や、過去に修繕した場合は改修履歴などを確認する。診断をすることで長期修繕計画を策定できるため、大規模修繕を実施する時期を検討できたり、建物や設備の状況を把握し維持することで、資産価値を長く保つことができるなどのメリットがある。
建物譲渡特約付借地権(たてものじょうととくやくつきしゃくちけん)
建物譲渡特約付借地権とは、借地借家法に定められた定期借地権の一種で、借地契約の終了時に、借地上の建物を貸主が買い取る特約が付帯された借地権を指す。
借地契約の存続期間は30年以上と定められている。建物譲渡特約の設定は、確定期限付売買特約か売買予約契約のうちいずれかのパターンになる。借地権者にとってのメリットは、建物の解体費用が不要で、譲渡によって投下資金の一部を回収できる点にある。一方、土地を貸す地主にとっては、建物の簿価や固定資産税評価額などを参照した「相当の対価」で買い取る必要があるが、建物が賃貸物件の場合は、買い取り後にテナントとの賃貸契約を引き継いで運用できる。
建物譲渡特約付借地権上の用途としては、賃貸マンション、商業施設、社宅、高齢者施設などがある。
建物面積(たてものめんせき)
建物面積とは、1つの建物内の各階の床面積を合計した総面積を指す。
床面積は壁や柱の中心線で囲まれた範囲を計算したもので、実際の居住スペースは床面積よりも狭くなる。
床があっても壁で囲まれていないバルコニーや庇、ピロティ、ポーチなどは奥行きが2m以下は含まれないが、2mを越える場合には建物面積に含まれる。建物内にある地下室やビルトインガレージも建物面積に含まれる。
多灯照明(たとうしょうめい)
多灯照明とは、一部屋を複数の照明器具を使って明るく照らす照明を指す。例としてシーリングライトとダウンライトなどが挙げられる。
複数の照明器具を使うため、読書する場所にはスポットライトを設置するなど、生活シーンに合わせた無駄のない明るさの調整が可能となっている。また、ワット数が低く消費電力の少ない照明を分散して設置するため、快適性が高まるだけでなく電気代の節約ができる。
田の字型間取り(たのじがたまどり)
田の字型間取りとは、玄関から、奥にあるベランダあるいはバルコニーに向かって伸びる廊下を軸にして、各部屋を漢字の「田」の字のように配置する間取りを指す。
マンションやアパートなどの集合住宅では代表的な間取りタイプで、玄関から入って左右に居室、中央部にキッチンや浴室、ベランダ(バルコニー)側にリビング・ダイニングと居室が配置されるのが典型的である。
タフテッドカーペット(たふてっどかーぺっと)
タフテッドカーペットとは、基布にパイル糸を刺し込んで形成し、裏面から固定したカーペットを指す。
具体的には、タフティング機を使い基布にミシン針でパイル糸を刺し込み、パイルの抜けを防止するため裏にラテックスゴムを塗布して麻、不織布などの裏地に接着する。大量生産しやすく安価な傾向にあるが、裏地があるため通気性に劣り、床暖房設置の床には使用できない場合が多い。タフテッドカーペットの種類としては主に、パイル糸を多めに使用したボリューム感のある「丸巻き」、丸巻きと比較して使用する糸が少ない「簡敷」がある。
タペストリー(たぺすとりー)
タペストリーとは、壁に掛けるなどして室内を装飾する織物を指す。
ウール、綿、絹、麻などの素材を用いて、織りによって絵や模様などを描く。本来のタペストリーは、天然繊維を材料として、横糸により色柄を出すつづれ織りという技法で織られている。現在の日本では、化学繊維にプリンタなどで印刷を施し、掛けたり吊るしたりする装飾用の布が、素材、製法を問わずタペストリーと呼ばれている。
玉石(たまいし)
玉石とは、角が取れて丸くなった自然石を指す。
土質材料の工学的分類体系で規定された分類名ではないためサイズに規定はないが、径が10~50cm程度で、風化や流水、転落などの自然作用により角が取れて丸くなった自然石が該当する。石は小さい順に砂、砂利、栗石、玉石と呼ばれており、これらをまとめて砂利と扱うこともある。
公園や道路の舗装、石畳、店舗の外構材、庭園の景観材など用途はさまざまである。
玉杢(たまもく)
玉杢とは、木材のこぶのような部分を板目にしたときに現れることがある、比較的大きな同心円形の模様のことを指す。ケヤキやクスノキ、タモなどの種類の木材に見られる。玉杢が現れる樹皮の表面は、丸く凸凹しているのが特徴である。製材したときに稀に現れる杢は希少価値が高く、杢の部分を無垢材としてそのまま柱材などに使うことは少ない。杢の模様部分を薄くスライスして、表面材や合板として使われることが多い。
タモ(たも)
タモとは、モクセイ科の広葉樹のことを指す。日本では北海道に、海外では中国や朝鮮に分布している。渦巻きなどのはっきりとした模様をもっている金色の木で、フローリング材、家具などの材料にも適しており、塗装しても木目が見えるため仕上がりが美しい。また弾力性があり、野球バットやスキー板に使われている。中国産のものが現在は多く出ており、タモ材と呼ばれるものにはヤチダモやトリネコなどが使用されている。
垂木(たるき)
垂木とは、軸組工法による建築物において、屋根の下地を形作る小屋組みを構成する材を指す。
屋根の頂上部分に渡される「棟木」から、母屋の軒部分の「軒桁」の上に、等間隔に取り付けられる。45.5cm間隔が標準で、断面部の大きさは屋根全体の重量や軒がどのぐらい飛び出すかによって変わる。多くの場合、軒天井などの板で隠れるが、垂木の下に化粧材で作った別の垂木を置き人目に触れさせるようなデザインもある。奥の垂木を「野垂木」、表面にある垂木を「化粧垂木」と呼ぶ。
経年劣化や積雪等の荷重による折れ、または雨漏りなどによって垂木が損耗した場合は、屋根の構造をすべてはがしてリフォームの施工を行うことになり、大規模な改修となる。木材特有の湿気などによる腐食に対応するため、樹脂製のものも使用されるようになってきている。
垂壁(たれかべ)
垂壁とは、天井から下に垂れ下がった形状の壁を指す。
床の間や、キッチンの流し台の上の方に設置された壁などが垂壁にあたる。
リビングとキッチンなど部屋と部屋の空間をさりげなく仕切ったり、デザイン性の高い部屋にするために使用されている。
建築基準法では、垂壁であって天井面から50cm以上、下方向に突き出しているものを「防煙壁」と呼ぶ。防煙壁は、火災により発生する煙の拡散を防ぎ、避難を容易にするための設備の一つである。(建築基準法施行令第126条の2)
タワーマンション(たわーまんしょん)
タワーマンションとは、地上20階以上、高さ60m以上のタワー状のマンションを指す。
タワーマンションには法的な基準や定義はないが、高さ60m以上の建物を超高層建築物とすると建築基準法で定義されていることからこのような考え方が広がった。タワーマンションのメリットとしては、部屋の中から眺望が楽しめる、高層階に行くほど虫の被害が少ない、プールやジムなどの共用設備が充実している、駅や商業施設が近くにあることが多いため利便性が良い、といった点がある。
炭化コルク(たんかこるく)
炭化コルクとは、コルク樫の樹皮を原料に炭化発砲加工をした素材を指す。
ワイン用のコルク栓を打ちぬいた残材などを粉砕したコルク粒を、型に入れて蒸し焼き状態にして炭化させて加圧成型する。コルク自体の樹脂や蝋分で固めるため、製造過程で接着剤は使用しない。コルク自体の特徴として、弾力があり、吸音・防振性、調湿性、疎水性、防虫性に優れている点が挙げられる。さらに炭化させることで断熱性が強化されるため、天然の断熱材としての利用が多い。畳床にも使われる。
現在、コルク原料はほぼ輸入品だが、かつては国産のアベマキの樹皮をコルク代替品として炭化コルクが製造され、冷蔵庫の断熱材やサンダルのソール材などにも使われていた。
タンク式食器洗い乾燥機(たんくしきしょっきあらいかんそうき)
タンク式食器洗い乾燥機とは、タンクに直接給水して使用する卓上型の食器洗い乾燥機のことを指す。分岐水栓を使用しないため、設置工事の必要がなく、専用コンセントと排水ホースがあれば、購入後すぐに使用することができる。他のタイプの食器洗い乾燥機と同じく、高温高圧の水で洗浄するため、油汚れなど落ちにくい汚れや複雑な形状の食器の汚れもきれいに落とすことができる。
タンクレストイレ(たんくれすといれ)
タンクレストイレとは、水洗用の洗浄水を溜めておくロータンクがないトイレを指す。
便器と温水洗浄便座の一体型が基本で、本体サイズが小さく省スペースの上、タンクがないためデザイン的にもすっきり見える。ただし、水道と便器を直結して水道管の圧力で排水するため、必要最低水圧の0.05~0.10Mpaを下回ると設置は難しい。また、タンク式のような手洗い機能は使えないため、トイレ内に別途手洗い器を設ける必要がある。
洗浄方式はメーカーによって違う。空気ポンプで排水路の内部を減圧してサイホン作用を補助する方式、排水路の湾曲したトラップを回転させて洗浄力を増す方式、水道直結の上部からの水流に加えて便器下部に内蔵した小型タンクからポンプで噴流を出すダブル洗浄方式などがある。いずれも節水効果は高い。
なお、オフィスや商業ビルのトイレでタンクが付いていないタイプはフラッシュバルブ方式と言う。
タングステン(たんぐすてん)
タングステンとは、元素記号をWとする金属を指す。世界各地に埋蔵されているが、埋蔵量のうち57%は中国にある。融点は3,380度であり、鉄の2倍以上高いことから耐熱性に優れた金属として知られ、またダイヤモンド並みの強度があり、金と同じくらいの比重の金属である。自動車、医療、電子部品などさまざまな分野で使われており、電球のフィラメントや電子レンジのマグネトロン、放電線などに使用されている。更に重いという特徴を生かして、釣りの重り、ゴルフ道具などとしても利用されている。医療分野ではガンマ線を防ぐ亜鉛の代替物として利用されている。