箕甲とは、切妻造りや入母屋造りの反り屋根において、切妻側の壁から突き出た「けらば」部分に独特の曲面を持たせて納めた部分を指す。反り屋根では、湾曲した破風板に沿ったけらば(登り軒)の先端と、平流れの屋根側のラインとの間に、横に張った糸が真中で垂れ下がったような高低差が付く。この間を滑らかに摺り合わせるようにつなぐために、三次元曲面を描くように作られている。社寺建築や数寄屋造りの金属葺きや檜皮葺き屋根では、美しい曲面の箕甲が見られる。箕甲という名称は、穀物類のふるい分けに使う竹で編んだ農具である「箕(み)」の甲部分に形が似ていることから付いた。「蓑甲」と表記し「雨具の蓑の背に似ているため」という解説もあるが、蓑の形状から見て無理のある説である。